管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から口座振替の方法により第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は別に定める徴収日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
2 組合員が前項の期日までに納入すべき金額を納入しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。
3 管理組合は、納入すべき金額を納入しない組合員に対し、督促を行うなど、必要な措置を講ずるものとする。
4 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
5 収納金が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、管理組合は、理事会の決議により定める弁済の充当の順序に従い、その弁済を充当することができる。
6 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
7 組合員は、納入した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。
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① 管理費等に関し、組合員が各自開設する預金口座から管理組合の口座に受け入れる旨を規定する第1項の規定は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第110号。以下「適正化法施行規則」という。)第87条第2項第一号イの方法(収納口座の名義人を管理組合又は管理者とする場合に限る。)又は同号ハの方法を前提とした規定であり、これ以外の方法をとる場合には、その実状にあった規定とする必要がある。その際、管理費等の管理をマンション管理業者に委託する場合には、適正化法施行規則第87条第2項に定める方法に則した管理方法とする必要がある。
② 徴収日を別に定めることとしているのは、管理業者や口座(金融機関)の変更等に伴う納入期日の変更に円滑に対応できるようにするためである。
③ 管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上での根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあることから、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一つであるといえる。管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について段階的にまとめたフローチャート及びその解説を別添3に掲げたので、実務の参考とされたい。
④ 滞納管理費等に係る遅延損害金の利率の水準については、管理費等は、マンションの日々の維持管理のために必要不可欠なものであり、その滞納はマンションの資産価値や居住環境に影響し得ること、管理組合による滞納管理費等の回収は、専門的な知識・ノウハウを有し大数の法則が働く金融機関等の事業者による債権回収とは違い、手間や時間コストなどの回収コストが膨大となり得ること等から、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定することも考えられる。
⑤ 督促及び徴収に要する費用とは、次のような費用である。
ア)配達証明付内容証明郵便による督促は、郵便代の実費及び事務手数料
イ)支払督促申立その他の法的措置については、それに伴う印紙代、予納切手代、その他の実費
ウ)その他督促及び徴収に要した費用
⑥ 第2項では、遅延損害金と、違約金としての弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することが「できる」と規定しているが、これらについては、請求しないことについて合理的事情がある場合を除き、請求すべきものと考えられる。なお、違約金としての弁護士費用等には、司法書士費用が含まれる。