理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
四 その他の総会提出議案
六 第58条第3項に定める承認又は不承認
七 第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
八 第60条第5項に定める弁済の充当の順序の設定
九 第67条に定める勧告又は指示等
十 第67条の2第1項に定める区分所有者の所在等の探索
十一 総会から付託された事項
十二 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
十三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任
2 第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十二号の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。
コメント
① 第1項第十二号の「災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等」の具体的内容については、次のとおりである。
ア)緊急対応が必要となる災害の範囲としては、地震、台風、集中豪雨、竜巻、落雷、豪雪、噴火などが考えられる。なお、「災害等」の「等」の例としては、災害と連動して又は単独で発生する火災、爆発、物の落下などが該当する。
イ)「総会の開催が困難である場合」とは、避難や交通手段の途絶等により、組合員の総会への出席が困難である場合である。
ウ)「応急的な修繕工事」は、保存行為に限られるものではなく、二次被害の防止や生活の維持等のために緊急対応が必要な、共用部分の軽微な変更(形状又は効用の著しい変更を伴わないもの)や狭義の管理行為(変更及び保存行為を除く、通常の利用、改良に関する行為)も含まれ、例えば、給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新、エレベーター附属設備の更新、炭素繊維シート巻付けによる柱の応急的な耐震補強などが「応急的な修繕工事」に該当する。また、「応急的な修繕工事の実施等」の「等」としては、被災箇所を踏まえた共用部分の使用方法の決定等が該当する。
なお、理事会の開催も困難な場合の考え方については、第21条関係⑪を参照のこと。
② 第2項は、応急的な修繕工事の実施に伴い必要となる資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて、第48条の規定によれば総会の決議事項であるところ、第1項第十二号の決議に基づき実施する場合には、理事会で決議することができるとするものである。
③ ①のほかにも、共用部分の軽微な変更及び狭義の管理行為については、大規模マンションなど、それぞれのマンションの実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である。その場合には、理事の行為が自己契約、双方代理など組合員全体の利益に反することとならないよう監事による監視機能の強化を図るなどの取組み、理事会活動の事前・事後の組合員に対する透明性の確保等について配慮することが必要である。